上杉聰『天皇制と部落差別 権力と穢れ』(解放出版社、2008年)
- 作者: 上杉聰
- 出版社/メーカー: 解放出版社
- 発売日: 2008/06/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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特に第2の点は部落に限らず、あらゆる差別を考える上で重要な示唆を含んでいる。つまり、ある集団や共同体の内部で「上」と「下」の差別がある状態と、集団や共同体から排除され「内」と「外」の差別がある状態の相違である。「穢れ」観のようなものは後者にしか存在しない。
本書を読むと部落史研究は依然として「発展途上」にあって、基本的な事実でも確定していないことが少なくないことがわかる。天皇制の連続性をことさら強調している点や、神国思想と仏教・儒教の関係について誤認がある点など疑問も多いが、被差別部落問題を考える上でいろいろ勉強になった。