金融所得増税は資金の海外流出を招くのか

 金融所得に対する税率を引き上げると、海外へ資金が流出するという主張もあるが、日本における国際資本移動の主要因は、為替レートや金利差であり、税制は副次的要因である。超低金利政策や円安維持政策によりアメリカへの資金流出を促進しておきながら、税制の設計において海外への資本流出を理由として配当所得・証券譲渡所得を軽課し続けるのは、国民に対する欺瞞である。(町田俊彦「『小さな政府』は行き詰った」『世界』2008年4月号)

 資金流出は金持ち増税よりも、為替や金利による影響が大きい。