税や社会保障による再分配効果が全くない日本

貧困層をより貧しくする日本の歪んだ所得再配分(1) - 東洋経済オンライン
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 「日本の相対的貧困率は13・5%。1位・米国の13・7%に肩を並べる水準だ。OECD加盟諸国の平均8・4%はおろか、3位・アイルランドの11・9%をも大幅に上回る」
 「母子世帯の母親の85%はすでに働いており、仕事を二つ三つ掛け持ちしているケースも珍しくない。それでも、平均年収は全世帯平均の4割にも満たないのが現実だ」
 「最低生活水準を下回る収入で生活している世帯のうち、実際に生活保護を受けている人の割合を示す「補足率」は、日本では20%以下と、他の先進国を大幅に下回る」
 「日本では、驚くべきことに、ただでさえ苦しい立場にある独り親世帯(母子世帯・父子世帯)の貧困率が、政府の所得移転によって、かえって上昇するのだ。こんな問題を抱えているのは先進国の中でも日本だけである」「その理由は、国民年金国民健康保険の逆進性が高いことにある。所得移転には、年金給付や生活保護、児童手当などプラスの移転もあれば、社会保険料や消費税のようにマイナスの移転もあるが、日本では生活保護の補足率が低いため、最低生活水準の年収であっても、社会保険料や税を負担しているケースが多い。独り親世帯に限らずとも、日本における所得再配分の貧困削減効果は、欧州先進国に比べかなり低い」
 「日本の歪んだ所得移転を是正するには、「給付付き税額控除」と呼ばれる政策が一つのヒントになるだろう。課税所得がなく、税金控除の恩恵を受けられない人に給付を行うことで、所得再配分を強化する仕組みだ」

 税や社会保障を通した所得転移によって逆に貧困率が上昇する矛盾。日本の課税の累進度がいかに低いかを如実に示している。