「BLOG BLUES」へのコメント

 BLOG BLUES:魂の絶唱ヨイトマケの唄
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 以下のコメントを投稿した。

 こんばんは。

 まず誤解のないように申し上げると、「共産党が保険料制度を前提にしている」と述べたからといって、私が保険料方式の永久継続を支持しているわけではないです。当該記述は植草一秀氏の事実認識の誤りを指摘したまでです。税方式への転換を検討するべきだという見解は前に「年金一律救済」のエントリで述べた通りです。ちなみに先の参院選の際に毎日新聞が全候補者に行ったアンケートを読むと、共産党の候補者の中でも保険料方式から税方式に転換するべきだと回答した人が少なくないことも付言しておきます。

 問題なのは現状で保険料を消費税に置き換えるというのは、厚生年金や健保の企業負担分の廃止を意味するということです。税率と保険料率だけを比較すると保険料の方が逆進性は強いのですが、企業負担分を含めると、結局消費税に変えることは企業負担を個人に転嫁することになります。この問題があるから財界の方が「全額消費税方式」を主張し、共産党などが保険料方式の廃止に踏み切れないと思います。

 次にいくら口先で「医療・教育をタダにします。だから消費税を引き上げさせてください」と言っても誰も信用しませんし、事実、公正な再分配システムが全くない(日本は税や社会保障による「再分配」前より後の方が貧困率が高くなる唯一の「先進国」です)のですから、「先に」消費税というのはむしの良い話です。先に消費税を引き上げるのではなく、先に医療・教育を無料化しなければなりません。

 そのための原資は直接税の増税で作る。神野直彦金子勝両氏が提起しているように所得比例の新税を創設するという手も検討に値するでしょう。全員に税負担可能な所得がある平等状態ならば、私は消費税を否定しません(むしろ民主的である)。しかし、それには先に再分配システムが構築されていなければならず、その効果は2世代くらい見なければわからない。つまり当面、私たちの目の黒いうちは何よりも累進税を通して再分配機能を強化することが必要で、消費税は少なくとも数十年後の課題です。そのくらい日本の不平等度はひどいことを強調したい。

 スウェーデンがいったい何十年かかって福祉国家にしたか、消費税導入前にどれだけ再分配効果を高める施策を行ったかを考えれば、「消費税先行」論は絶対に容認できません。何より現在の日本では消費税を引き上げた途端、貧困がますます拡大します。いつも「花・髪切と思考の浮遊空間」が消費税を国家的貧困ビジネスと指摘している通りです。瞬時に医療・教育の無償化ができますか? 保険料をたくさん支払った人のそうでない人への反発も予想されます。何年かかるかわからない無償化実現まで貧乏人は持ちません。とにかく現状は税も保険料も「応能原則」にのっとること、それで再分配効果を高める政策を行わせることが何よりも肝要です。

 最後に弊ブログのコメント欄の件ですが、これは勘弁してください。体力的にも精神的にも私には無理です。返信しないで放置するという手もありますが、目の前で批判されれば反論せざるをえない。私は未熟者なので「大人の対応」はできません。今回もこうして一本のエントリに匹敵する文章量のコメントを下書きまでしてせざるをえなくなっています。どうしてもと言うのであれば、ひっそりとやっている備忘録用のブログ(http://d.hatena.ne.jp/mahounofuefuki/)の方はコメント欄を開いているので、そちらの最新エントリにでもお願いします。