政策決定システムの「空洞」

http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20081128k0000m070137000c.html

 「年金や医療や福祉など社会保障制度は複雑なものが多く、エリート官僚といえども高度な専門性を要求される仕事を短期間で意のままにするのは難しいだろう。省内のしがらみ、政治家やOBや業界団体の意向など数々の制約に縛られ、思うような権限を振るえないと実感している官僚も多い。その結果、政策決定システムの中心が空洞と思えることもしばしばある」
 「政府の『厚生労働行政の在り方に関する懇談会』座長の奥田碩(ひろし)・トヨタ自動車相談役が『厚労省たたきは異常な話。マスコミに報復してやろうか。スポンサーを降りるとか』と発言して物議をかもしたが、厚労官僚の子どもが学校でいじめにあっている話を奥田氏が聞いて義憤にかられたのだと側聞する。厚労省バッシングが家族にまで及び、省内にも不安といらだちをマスコミに向ける空気が渦巻いているのを感じる」

 政官財の複雑かつ複合的な関係を無視して官僚をバッシングしても、単なる藁人形たたきに終始するのではないか。