株主優先主義への変化の原因

1 資金調達の必要上、株主が大事になった。特に格付け会社の判断材料となるから、社債発行能力にも影響する。
2 バブル以前は配当が雀の涙くらいでも、投資家はキャピタルゲインを狙って株を喜んで買ったが、株価永遠右肩上がりの神話が崩壊して、配当を相当払わない会社の株を誰も買わなくなった。
3 誰も株を買わなければ、株価が下がり、時価総額が資産総額を下回るようになり、敵対的買収の対象となる可能性が出てくる。従って株価維持が経営者にとって急務となった。
4 株価を維持することが経営者の至上命題となった以上、会社の株価の動向は世間でその経営者の腕の指標として見られるようになった。
5 「会社はやはり株主のものだった」という思想転換。
ロナルド・ドーア「『洗脳世代』という問題」『世界』2007年10月号)