「事業仕分け」と音楽芸術

東条 今度の事業仕分けの影響も芸術文化振興基金などに出てきました。日本の音楽界に暗雲が漂い始めた感がありますね。自主運営オーケストラにとっても苦しい時代になりそうです。
山田 「東京の夏」も今年で終わりましたしね。
片桐 そうでしたね。今は文化庁の管轄でやっていることが、文化庁でやる必要があるのかと問われています。
(中略)
東条 文化というものは、必要ではないと考える人にとっては必要ではないけれども、必要だと思う人には必要なんです。仕分け人とかいう人たちが、自分がそんなものに関心がないから必要ではない、とばかりに予算を切っていくのは、これはもう暴挙ですよ。
片桐 民主党文化政策のグランドデザインがあったうえでならいいと思いますけど、とにかく無駄を排除というだけでいくと、いろんなものが無くなっていきますよね。もともと文化って、コストパフォーマンスで考えられない部分がすごくあるじゃないですか。ヨーロッパの文化政策はほとんど税金で補助している。それで多くの歌劇場が運営できている。逆にアメリカみたいに全部個人寄付や企業寄付でやるとすると、日本の税制では難しい。より具体的な政策が必要になっています。 (片桐卓也、山田治生、東条碩夫「座談会 2009年のクラシック音楽界」『音楽の友』2010年2月号、p.106)

 「事業仕分け」で特に文化・教育関係は大打撃を受けている。単に儲かるか、儲からないかという市場的価値にしか関心がない反文化的な「仕分け人」たちの獰猛な非人間性。人脈的には小泉時代の残党だから当然だが。