労働者派遣法改正の骨抜き

 社民、国民新両党は、派遣先の責任を強化する規定を設けることなど、より保護を強める方向で修正を求めていた。特に社民党の主張は強く、16日には党首の福島消費者相が記者会見で、党の修正案を発表した。
 この日は、社民党の重野幹事長が厚労省の担当者と協議し、要綱の諮問を了承した。労政審は月内にも要綱を「妥当」と認める答申を出す見込みで、これを受け、政府は3月の改正案提出を目指す。ただ、社民党では修正を望む声が依然強く、混乱が続く可能性も残っている。 (読売新聞 2010/02/16 23:19)

 厚労省の法案要綱は、登録型派遣の禁止について最長5年の猶予期間を設けている。社民党は16日、猶予を3年に短縮する修正案を公表したが、労政審の使用者側委員はこれに反対しており、厚労省は「(社民党案を反映させるのは)非常に難しい」(長妻昭厚労相)と判断した。 (毎日新聞 2010/02/16 23:20)

 政権交代前の民主・社民案ですでに個人的にはアウトだったので期待は全くなかったが、やはり完全な骨抜き法案。5年の猶予では次期衆院選後の政権組み換えでいくらでも無効化可能。そもそも「専門業務」以外は「登録型」原則禁止と言っても、すでに「専門業務」偽装が横行していて実効性は薄い。「派遣」という差別形態そのものを廃止する方向性が全くない。労政審諮問という自民党政権時代と同様の手続きを踏襲するのも御都合主義。同じ日に自民党からの引き抜きで社民党なしで参院過半数を確保できるようになったのもできすぎている。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000003hjs.html 厚生労働省:「今後の労働者派遣制度の在り方について」の答申について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/s0217-5.html 厚生労働省:第68回労働政策審議会職業安定分科会の開催について